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妄想と分身の術


今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。 私が描くときに必要不可欠だと思っているもの、それは“妄想力”と“分身の術”です。 まず“妄想力”。 “こんな物語を絵にしてみたい”、と日々妄想すること。空想…というよりは妄想に近いかと。その妄想イメージにあうモチーフを求めてセットしたり、イメージの風景を探しながら歩き回っています。 他人にはフラフラしている人にしか見えないだろうなあ。 そんなわけで、イメージ通りのモチーフが組めたり、ここだという風景にやっと出会えた時には、すでに絵の半分は終わっているという感じがします。 また、初めてお目にかかるモデルさんを描くときなどは、そこから妄想がスタートします。 話をするときのしぐさや笑い声から勝手な人物像を作り上げて描いています。「表現する」とは、表そうとして現れたもの…と聞いたことがあります。僅かでも何か現れるためには妄想力を駆使しなくては。 友人も「モデルは全員、俺の女だと思って描いてるぜ!」と言い放っていました(笑) 先日テレビを観ていたら、安住紳一郎さんが 「飛行機に乗っている時、天才脳外科医(正確ではありませんが…)である自分を妄想していたら、急に『お客様の中で医療に従事されている方はいらっしゃいますか?』と緊急アナウンスがあり、思わず手を挙げてしまったら周りから『違うでしょ!?』と失笑をかった」と話されていましたが、その気持ち、よくわかります(笑)。 そして“分身の術”。 絵を描きながらイメージに向けて邁進する中、ある時点で自分を切り離す、分身の術。 分身の術…私が勝手にそう言ってるだけなので何のことやらと思われるでしょうが、まどみちおさんのこの詩を読んだとき、私が言いたい“分身の術”はこれだ、この感じだ、さすがだなぁぞうさんは…と思いました。 うたを うたうとき うたを うたう とき わたしは からだを ぬぎます からだを ぬいで こころ ひとつに なります こころ ひとつに なって かるがる とんでいくのです うたが いきたい ところへ うたよりも はやく そして あとから たどりつく うたを やさしく むかえてあげるのです まどみちお

描きながら自分で自分をコントロールすることは本当に難しい、余分な感情や欲や見栄が邪魔をします。 この詩のように絵がかけるようになりたい! 音楽や芝居や絵や、 表現の方法は違えど 大切なことは同じなんだと思いました。 さて、文中にありました 安住さんのラジオ TBS「安住紳一郎の日曜天国」の 2011年のポストカードを描かせていただくことになりました。 安住さん本当にスゴい人です、是非聴いてみてください!


お正月に梅と松を描きました。

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