深夜のコンビニで嘘をついた話

私が水彩をまだ描いていなかった頃だから、9年くらい前の話。 完全な夜型で、深夜1時過ぎに 制作に使うためのコピーをしに、目の前のコンビニに行っていました。 やる気、愛想の全くないヘビメタ系の ハタチくらいの女の子がひとりで店番していることが多く、深夜に女2人しかいない店内で私が

「寒いね~」「一人で平気なの?」と話しかけても、 「そっすねー」「平気っす」 と素っ気ないので次第に 私も 挨拶だけになってしまいました。


丁度 今日のような 春めいてきた冬の終わりのある日、コンビニの入り口に [閉店のお知らせ] が貼ってありました。 いよいよ今夜で閉店 という晩 最後のコピーをしたあと 彼女に、

「今まで毎晩ありがとうね。私、ホントに心強かったよ」とお礼を言ってお店を出ようとしたら 「あのぉ~」と めちゃくちゃダルそうな声がしたので振り返ると 「あのぉ~ 夏にぃ~着てたぁ~オレンジっぽいぃ~ワンピースぅ めちゃかわいかったんすけどぉ~ どこのですかぁ~? あとぉ~夏にぃ~持ってたぁ~ バスケットみたいなぁ~バッグ欲しくてぇ~探したんだけどぉ~見つかんなくてぇ~ どこで買ったんすか~?」 と聞かれました。 心の中で「今かよっ!んなもん、夏に言えよっ!」と叫びながらも あ、ちょっと待ってて!といい残し、アトリエから未使用のバスケットを抱えてコンビニに戻りました。 「コレだよね?あげる。使ってないのが いっこ余分にあった」と言って渡すと、 「あざっす」とすごくうれしい顔をして喜んでくれました。 最後までちゃんと喋れない娘だ(-_-) と思いながら立ち去ろうとしたら

「あの~!」とさらに呼び止めるので、今度はなんだよと思って振り返ると

「あの~!いつも思ってたんっすけどぉ・・・ 何やってるヒトなんすか?」と聞かれたので 「え?あぁ ・・・漫画家だよ」 というと 「マジっすかっ?えっ有名なんすか?うちにおいてある雑誌とかに載ってるんすかっ?」と食いついてきたので 「当たり前じゃん。何冊も載ってるよw」 「なまえっ名前 教えてくださいっ!」(おまえ、ちゃんと話せるじゃないか) 「あはは~ 内緒」 「えー!お願いします!」 と懇願されたので、適当なヒントを言って 帰ってきました。 アトリエから覗くと 彼女は もう 雑誌棚のとこに移動していました。 嘘ついて ごめん

と、最近こんなことをFacebookに載せました。 まぁ、絵というものは「絵空事」という言葉があるように、いかに紙の中で そこにその世界があたかも存在するかのように 見る人をだませるか ということだと思うので、見破られない嘘をついていきたいと思っています。